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【獣医師コラム】保護犬譲渡の基礎知識 (天野直美 獣医師)

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獣医師コラム
殺処分や飼育放棄を減らすために2 成犬・成猫のお迎えする際の予備知識
ペットが暮らしの中で切っても切り離せない存在になっている方、あるいは今後そんな風に暮らしていきたいと考えている方も多いのではないでしょうか?この記事では、新しい家族として成犬や成猫をお迎えするメリットや問題点、解決策について解説します。

成犬や成猫の譲渡をうけるとはどういうこと?

前回のコラムでは、いまだにゼロにならない殺処分を減らすために、保護犬や保護猫を家族としてお迎えする選択肢があることをお伝えしました。
日本では、ペットショップから子犬や子猫を買うのが主流となっているため、成犬や成猫を家族に迎え入れるという経験のない方も多いのではないでしょうか。
確かに、子犬や子猫を子供のころから育てる楽しみは、大人になった犬猫を迎えることにはない醍醐味です。しかし、成犬、成猫をお迎えすることにもたくさんのメリットや楽しみがあります。

成犬、成猫をお迎えする3つのメリット

1.相性のミスマッチが少ない
すでに性格が出来上がっているので、自分のライフスタイルや性格などを考慮した上で、相性の合う子を選んでお迎えすることができます。また、成長に伴う急激な変化が無いので、「思っていたより大きくなってしまった」「想像していた顔立ちと違ってきた」など、見た目のギャップに悩むこともありません。

2.落ち着いた生活から始めることができる
新しい家族を迎えるにはそれなりの生活スタイルの変化は必要ですが、特に子犬や子猫の場合は、トイレのしつけ、いたずらの対応、遊び相手など、「子育て」のエネルギーが必要です。一方、成犬や成猫の場合は、比較的落ち着いた生活からスタートすることができます。

3.終生飼育を計画しやすい
最近は20年以上長生きする犬猫も珍しくなくなりました。責任を持って最期まで飼うという“終生飼育”を考えた時、お迎えする側の飼い主がシニア世代になってくると、子犬や子猫の飼育にためらいを覚えてしまうのは否めません。一方、成犬や成猫であれば、どんな世代の方でも終生飼育を考慮したお迎えを計画しやすくなります。

保護犬や保護猫の譲渡をうける流れ

1.里親募集の犬猫を探す
保護施設のホームページや譲渡会などを通じて、里親募集中の犬猫を探します。

2.譲渡条件の確認
多くの保護施設では、保護動物が再び捨てられないために譲渡条件を設けています。各施設によって詳細は異なりますが、ペット飼育が可能な住宅に住んでいることはもちろん、里親となる方の年齢、家族構成、ライフスタイル、定期報告義務など、細かく設定されている場合があります。
また、ペットショップのように選んだ子をその日に連れて帰ることはできません

自治体や団体によって実施
3.事前講習会
地方自治体によっては、適正飼養や法律などについて学ぶことができる「飼い方教室」を開催しています。特に初めて犬猫を飼う方は、基本的な知識を学ぶ良い機会になります。
4.マッチング
団体や保護施設によっては、お迎えしてみたはよいものの、犬猫の性格や気質が里親さんの生活に馴染まずに「やっぱり飼わなければよかった」という事態を避けるために、同じ屋根の下で数日生活してみるトライアル期間(お試し期間)を設けている場合があります。問題がない事を確認した上で正式な譲渡が成立するのでミスマッチを回避することができます。

成犬や成猫を施設から迎える問題点や課題

譲渡条件のハードル
保護施設から犬猫の譲渡をうける流れの中で、里親になるためには一定の条件をクリアしている必要があると紹介しましたが、これが保護施設からの譲渡を阻む大きなハードルとなっています。例えば、比較的多くの保護団体が採用している条件として、60歳以上の方の場合は後見人が必要であること、経済的に安定していることなどが挙げられています。
これらは適正に終生飼育を行うことを考慮して設けられているものではありますが、里親希望者が保護施設からの譲渡を諦めてしまう大きな原因の1つとなっています。

医療費や介護の負担
高齢の犬猫をお迎えした場合、若い犬猫と比較して、持病や加齢に伴う病気の発症が増えてくるため、医療費の負担が大きくなりがちという課題もあります。また、犬猫も高齢化が進んでいるため、足腰が弱くなって寝たきりになったり、認知症になったりすることも考慮しなければなりません。
このため、お迎え時に健康診断を行い、どんなケアが必要なのかをあらかじめ確認しておくことが重要です。必要に応じてペット保険に加入しておくと、動物病院での負担が軽くなり安心です。

背景に応じて特別な対応が必要なことも
子犬や子猫と違い、保護施設にいる成犬や成猫は様々な背景を持っているため、しつけやメンタル面のケアが必要な場合もあります。お迎え前には、しっかりとその子の特徴を理解して、相談できる人や場所を確認しておくとよいでしょう。

安心して成犬・成猫お迎えをするために

では、どうすれば課題や問題点を克服して、これからお迎えする成犬や成猫との幸せな生活を送ることができるのでしょうか。安心して新しい家族を迎えるために、出会いの段階で押さえておきたい2つのポイントをお伝えします。

医療サポート体制が整っているところで探す
お迎えする動物の年齢にかかわらず、ペットとできるだけ長く幸せな生活を送るためには、健康管理が重要な要素の1つです。
多くの保護施設では、譲渡時にワクチン接種やマイクロチップの挿入などを行いますが、健康診断も行ってどのようなケアが必要か、あるいは今後どんな注意が必要になってくるのかまでアドバイスしてもらえると、さらに安心です。
お迎え後も通いやすい近くの動物病院で、獣医師から直接検査結果や飼い方のアドバイスをもらえるならより理想的です。

お迎え後のフォローがあるところで探す
地方自治体などが運営する公的な保護施設では、譲渡後に聞き取り調査の実施やしつけ教室の開催などによって、里親さんに困り事がないかを見守っています。
また、民間の保護施設では、いつでも電話やメールで相談できる相談窓口を設けるなど、細やかなサービスを提供しているところもあります。こういった体制が整っていると、お迎えした後にも随時相談ができるため、安心して暮らしていきやすいといえます。

提供できるサービスやアフターフォローは、保護施設や団体によって様々です。
お迎えした後の事も考慮した上で事前によく確認し、ご自身のニーズにあったお迎え先を選択されるとよいでしょう。

ペットと飼い主様が互いに幸せになれる選択をするために、これらのことを参考にしていただければと思います。

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獣医師 天野 直美 先生

株式会社ワールドエクイップス
http://www.world-equip.com/

2000年に北里大学獣医畜産学部獣医科を卒業後、動物用医薬品メーカーでの学術担当職、東京農工大学付属動物医療センター 臨床腫瘍科でのⅠ種研修医など幅広い職種を経験。
現在はヒトと動物に優しい医療の実現を目指し、世界各国から高品質な商品を輸入販売する株式会社ワールドエクイップスに勤務。セールスマネージャーとテクニカルアドバイザーを兼務する。趣味は猫とお酒と美味しいものの食べ歩き。