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【獣医師コラム】[2回連載] 繁殖引退犬・猫を迎える里親の心得 2 (天野直美 獣医師)

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【獣医師コラム】[2回連載] 繁殖引退犬・猫を迎える里親の心得 2 (天野直美 獣医師)
獣医師コラム
ペットが暮らしの中で切っても切り離せない存在になっている方、あるいは今後そんな風に暮らしていきたいと考えている方も多いのではないでしょうか?この記事では、新しい家族として成犬や成猫をお迎えするメリットや問題点、解決策について解説します。

繁殖引退犬・猫を迎えたいとお考えの家族のために

【この記事がおすすめな方】
・気になっている子が繁殖引退犬や猫の方
・どんな子ともベストパートナーになる方法を知りたい方
・成犬や成猫のお迎えを希望していて、繁殖引退犬・猫も考えている方
・ご自身のペットの行動をしつけるヒントを探している方

連載1回目は、簡単な心得や背景について記載をしています。
併せてぜひご覧ください。

具体的な癖や特徴・その対処方法

前回のコラムで、繁殖引退犬・猫は、子犬や子猫と違って個性が出来上がっているので、新しい環境に馴染むまでに時間がかかる傾向があること。
そのため、まずはゆっくりと一定の信頼関係を作っていくのが良いことについてお伝えしました。

今回は繁殖引退犬・猫にみられる具体的な特徴や癖、その対象方法について記載をしますが、
こういった特徴や癖のない子も多くいます。
ただ、こういった傾向があると頭に入れておくと、お迎え後のギャップを減らすことができますので、新しい家族として繁殖引退犬・猫のお迎えを考えている里親さんには、是非ご一読をいただけると幸いです。

トイレのしつけ(犬・猫)

環境の変化が主な理由となって現れやすい問題の1つが、トイレの粗相です。

・ポイント1.トイレを置く場所に対して広めにペットシーツを敷き詰めたところから始め、失敗しにくい状況を整えることからスタートするとよいでしょう。最初のうちは行動をよく観察し、排泄しそうなしぐさを見せたらペットシーツの上に連れて行き、排泄を待つことを繰り返します。特に寝起きや食後は生活リズムの中で排泄しやすいタイミングとなりますので、排泄のサインを見逃さないようにしましょう。上手にできたら褒めたりおやつを与えて、徐々にペットシーツのエリアを狭めていきます。
・ポイント2.トイレの場所を覚えさせることよりも、ペットシーツの上で排泄することを覚えさせることを意識すると、外出先でも上手にトイレを使えるようになります。
猫の場合は、トイレのしつけに困ることはほとんどありませんが、雄猫のスプレー(マーキング)行為に対処が必要になることがあります。通常は去勢すれば軽くなりますが、成猫の場合は去勢しても残ってしまうケースもあります。
対策としては、トイレの環境をその子好みに変えてあげることと、おしっこをかけがちなところに猫が嫌うスプレーを撒く、といった方法があります。
なお、犬・猫のお迎え直後のマーキング行為は、新しい場所を自分の居場所に変えるためのプロセスですので、ある程度は容認してあげることも必要です。

お散歩を怖がる(犬)

外でお散歩することも大切な習慣の1つですが、ケージで飼育されていた子のほとんどは、外の世界を知らずに過ごしてきたため、怖がってうまくお散歩ができない場合があります。
ポイント.家の中でリードをつけて歩く練習をすることから開始して、その後、抱きかかえたまま家の周辺を散歩するなど、徐々に屋外に慣れさせていきます。同居犬がいる場合は、一緒に散歩に出るのもよいかもしれません。同居犬がお手本となり、外の世界に対する恐怖感を克服しやすくなります。

無駄吠えする(犬)

環境が変わったことによる恐怖心や警戒心から、呼び鈴や知らない訪問者に対して吠えつくような問題行動が現れることがあります。

ポイント1.ご家族が帰ってくるときに呼び鈴を鳴らして家に入ってくる、訪問者がおやつを与えるなどの対策で恐怖心や警戒心を解いてあげることが有効です。
ポイント2.上記を実行しても無駄吠えがなくならない場合は何かして欲しいという「要求吠え」や遊んでいるときに興奮し過ぎの吠え、病気による不安からくる吠えなどの可能性もあります。その子の原因にあった対処が必要となるので、問題が解決しないときには、専門のトレーナーに相談するのも方法の1つです。

マウンティングなどの発情行動(犬・猫)

それほど頻度は高くありませんが、過去に繁殖経験のある動物では、避妊や去勢を行った後にも発情時の行動が残ってしまうことがあります。
特にマウンティングは、性的な欲求だけではなく、遊びやコミュニケーションとしても機能しているため、動物にとっては自然な行動ですが、相手が見知らぬ動物や人の場合は、ケンカやケガの原因になる可能性があるので、マナーとして止めさせることが必要です。

ポイント1.マウンティングを見かけたら、その都度すぐに制止します。その際、大きな声で叱る必要はありませんが、飼い主が不快に思っていることをアピールするよう心がけましょう。
ポイント2.予防としては、発情している動物を近づけない、ぬいぐるみなどのマウンティング対象を取り除く、代わりになる遊びに誘ってあげるなどの対策があります。

食欲がなくなる(犬・猫)

繁殖引退犬・猫に限ったことではありませんが、お迎え当初は環境の大きな変化がストレスとなり、元気や食欲をなくしてしまう子がいます。特に猫は環境の変化対してストレスを感じやすい動物ですから、まずは同居の家族や動物に邪魔されず、落ち着いて食事ができる場所を確保してあげることが重要です。

ポイント1.食事の変化によって食欲が落ちる場合がありますので、お迎え前の食事と同じ内容のものを用意してあげましょう。
ポイント2.食事を温める、おいしいふりかけをかけるなどの工夫で食欲を引き出せることがあります。
下痢、嘔吐、血尿などほかの症状がなければそれほど緊急性は高くありませんが、全く水も食事もとらない状況が36時間以上続いたり、食欲不振の状態が72時間以上続くならば、病院の受診が必要です。

まとめ

しつけは失敗を叱りつけるのではなく、上手にできたときに褒めてあげることで、成功の喜びを強化する方法が効果的です。トラブルの解消に時間がかかる場合もありますが、動物達を優しく見守り、余裕のある心持ちで臨むことが大切です。

繁殖引退動物の中には、以前の生活環境でトラウマを抱えている動物もいます。場合によってはトレーナーやしつけ教室を利用するという選択肢もあります。
困ったときには抱え込まず、まずは譲渡元やかかりつけの動物病院などに相談してみるとよいでしょう。

イメージ

獣医師 天野 直美 先生

株式会社ワールドエクイップス
http://www.world-equip.com/

2000年に北里大学獣医畜産学部獣医科を卒業後、動物用医薬品メーカーでの学術担当職、東京農工大学付属動物医療センター 臨床腫瘍科でのⅠ種研修医など幅広い職種を経験。
現在はヒトと動物に優しい医療の実現を目指し、世界各国から高品質な商品を輸入販売する株式会社ワールドエクイップスに勤務。セールスマネージャーとテクニカルアドバイザーを兼務する。趣味は猫とお酒と美味しいものの食べ歩き。