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「殺処分や飼育放棄を減らすために」ペット先進国のペットとの出会い方

獣医師コラム
殺処分や飼育放棄を減らすために1 ペット先進国のペットとの出会い方
ペットが暮らしの中で切っても切り離せない存在になっている方、あるいは今後そんな風に暮らしていきたいと考えている方も多いのではないでしょうか?この記事では、ペット先進国と日本を比較し、「ペットとの暮らし」がより良いものになるよう獣医師が解説します。

人はどうしてペットと暮らすのか?

かつては外敵からの警備や穀物を荒らすネズミを駆除したいというニーズから動物と暮らし始めたと考えられていますが、現在、人と暮らす動物はペットとして愛玩され、家族のように共に屋内に暮らすことが多くなりました。

どうしてペットとの暮らしを選ぶ人が増えてきたのでしょうか。

その理由の一つに、少子化や核家族化が進む近代的なライフスタイルによって、人間関係が希薄になってきている、ということがあるのかもしれません。

ペットと暮らすメリット

実際にペットと暮らすことでどんな効果がもたらされるのでしょうか。
希薄になった人間関係を補うようなものが得られるのでしょうか。
ペットと触れ合うことで癒される感覚を科学的に解明する研究の一部をご紹介します。

ふれあいで、幸せホルモン”オキシトシン”が分泌される
例えば、愛犬とふれあうことで幸福感や満足感を感じると分泌されるオキシトシンというホルモンの分泌量を測定した実験では、犬からじっと見つめられることで、飼い主のオキシトシン分泌量が上昇することがわかりました1)
犬も同様に、飼い主からのスキンシップや声かけによってオキシトシンの分泌が刺激され、相互にハッピーな気持ちを高めあっていることも明らかになっています。

病気のリスクを下げる効果も
ペットと暮らすメリットは、幸せや癒しだけではありません。健康維持の観点から、犬や猫と暮らす飼い主は、心血管系の病気で死亡するリスクが低くなることや2,3)、血圧の低下作用、ストレス解消、子供のアレルギー軽減の可能性など、ペットと暮らすことによって得られる効果は多く報告されています。

ペットを取り巻く問題

無責任な飼い主の行動が、犬や猫の殺処分に繋がっている
人間の良きパートナーである犬や猫ですが、日本では心無い一部の飼い主によってペットが無責任に捨てられる、動物保護施設に持ち込まれるというケースが後を絶ちません。
ここ10数年で減少傾向にはあるものの、2017年の統計では10万頭以上の犬猫が地方自治体の管轄する動物愛護センターに持ち込まれました。うち半数近くは返還あるいは新しい飼い主へ譲渡されましたが、それでもまだ年間4万3千頭が殺処分となっています4)

飼い主による飼育放棄が多い
飼い主が病気になる、死亡するという事情から飼育できないというやむを得ないケースもありますが、「可愛くなくなったから」「体が大きくなったから」「引っ越すから」といった無責任な理由で、犬を捨ててしまう飼い主がいるのも事実です。

こういったケースは、ペットと暮らすための知識や覚悟がないまま「可愛いから」「小さいから」「人気だから」と衝動的に子犬や子猫を購入してしまった方に多くみられます。飼い始めてからこんなはずではなかったと感じ、飼育を放棄してしまうのです。

問題の解決のためにペット先進国が行っていること

飼育放棄や殺処分の背景の一つとして、子犬の売られ方の問題点が指摘されています。日本のペットショップでは、子犬や子猫などの生体販売が主な収入源となることが多く、見た目が可愛い月齢の若い動物をできるだけ早く売り抜くことに力を注いでいるショップが多いといわれています。
そのため、飼い主が犬をきちんと飼育できるかということよりも、子犬の衝動的な購入を促すことを重視して、成犬になった時のイメージや犬種の特徴、適した飼い方などのアドバイスを怠っているショップも見受けられます。この点は日本が諸外国から大きく後れを取っているところです。

日本と海外の制度の違いについて
イギリス政府は、2018年8月よりイングランド地域を中心に、生後6か月未満の子犬・子猫の店頭販売を禁ずる方針を発表しました。
また、アメリカのカルフォルニア州では、2019年1月以降にペットショップで販売できる動物は、アニマルシェルターなどの動物保護施設から受け入れた子犬や子猫、ウサギのみとなりました。
日本でも2019年6月にいわゆる動物愛護法の改正法案が可決・成立しましたが、幼い動物の販売規制は未だ生後56日(8週)未満であり、実効性に乏しい内容となっています。
イギリスやドイツでは、犬猫の生体販売を行うには広い展示スペースを確保するなど厳しい規定をクリアしなければならず、事実上販売することが難しいため、ペットショップで犬猫が販売されること自体が珍しいようです。

不幸なペットを減らすために

日本ペットフード協会によれば、日本のペットオーナーを対象に、動物愛護団体からペットを入手する検討の有無を調査したところ、半数以上の方が「シェルターを知らなかった」と回答しています5)
テレビなどのマスメディアに取り上げられ、動物愛護団体に対する関心が高まってはいるものの、保護犬や保護猫などの実際の認知度は未だに低いのが現状です。
保護された動物達はすでに高齢であったり、病気や問題行動を抱えている犬や猫もいれば、飼い主から飼育放棄や虐待を受けた動物が、心に傷を負って人間不信になっているケースもあります。
しかし、各団体や獣医師、ボランティアなどの十分なサポート体制と保護活動に対する理解さえあれば、保護動物との暮らしは何ものにも代え難いものとなるでしょう。
全てのペットショップやブリーダーが”悪”というわけではありません。
ペットショップ以外の出会い方もあり、保護犬や保護猫のように、成犬や成猫の状態で出会うという選択肢も選べることを知ってください。
きちんと自分が飼育をできるか、性格的な相性はどうかなど、特徴をしっかりと把握することで、私たちは不幸なペットをもっと減らすことができるはずです。


参考文献
1) Miho Nagasawa, et al. Science 348(6232):333-6 · April 2015 with 2,707 Reads DOI: 10.1126/science.1261022
2) Mwenya Mubanga, et al, Sci Rep. 2017; 7: 15821. Published online 2017 Nov 17. doi: 10.1038/s41598-017-16118-6
3) Yu Taniguchi, et al, PLoS One. 2018; 13(11): e0206399. Published online 2018 Nov 14. doi: 10.1371/journal.pone.0206399
4) 環境省自然環境局: 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況
5) 日本ペットフード協会: 平成30年全国犬猫飼育実態調査

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獣医師 天野 直美 先生

株式会社ワールドエクイップス
http://www.world-equip.com/

2000年に北里大学獣医畜産学部獣医科を卒業後、動物用医薬品メーカーでの学術担当職、東京農工大学付属動物医療センター 臨床腫瘍科でのⅠ種研修医など幅広い職種を経験。
現在はヒトと動物に優しい医療の実現を目指し、世界各国から高品質な商品を輸入販売する株式会社ワールドエクイップスに勤務。セールスマネージャーとテクニカルアドバイザーを兼務する。趣味は猫とお酒と美味しいものの食べ歩き。