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シニアforシニア~シニア世代とペットの新たな出会い方~

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シニアforシニア~シニア世代とペットの新たな出会い方~
獣医師コラム
シニアforシニア~シニア世代とペットの新たな出会い方~
高齢化社会が進む日本では、第2の人生のパートナーとして高齢の方でも新しくペットを家族に迎え入れたいと考えている方も多いようです。この記事では、シニア世代の方たちが保護動物をお迎えするメリットや問題点、解決策について解説します。

シニア世代のペット事情

2019年の国内調査では、総人口の約30%、3人に1人が65歳以上の高齢者であると報告されています。
そんなシニア世代の方の中には、長年連れ添ったペットに先立たれたり、子供が独立してしまったことなどをきっかけに「新しくペットを家族に迎えたい」と思う方が増えているといわれています。

高齢者がペットと暮らすメリット

1.精神的な支えになる
子供が独立した場合はもちろん、特に独り暮らしの高齢者の場合は、ペットの存在は孤独を慰めてくれるといった精神的な支えになります。
2.健康維持につながる
散歩がリハビリの代わりになったり、規則正しい生活リズムを形成できることなどから健康維持につながると考えられています。
実際に、2017年には「犬猫と共に暮らす飼い主は、心血管系の病気で死亡するリスクが低くなる」という結果報告が発表され、話題になりました1)
さらに、犬猫とのコミュニケーションそのものや、ペットを通じて社会と繋がることにより、認知症予防にも役立つといわれています2)

高齢者がペットを飼う際の問題

一方で、高齢者によるペットの飼育には問題点も指摘されています。
2018年に日本ペットフード協会が実施した調査では、シニア世代のペット飼育について最も多く挙げられた心配事として、現在犬猫を飼育している方もこれから飼いたいと思っている方も共通して「ご自身や家族の病気・入院・介護でペットの飼育自体が困難になること」が挙げられています3)
動物愛護団体に保護依頼をした飼い主を対象に行った聞き取り調査でも、最も多かった依頼理由は「飼い主の病気・傷病等」で、全体の32%を占めていたと報告されています4)
多くの保護団体で60歳以上の方の場合は後見人が必要であることを譲渡の条件として採用しており、保護動物をお迎えしたい気持ちを諦めざるを得ないと思っている方が多いようです。

高齢者こそペットとの共生が必要

本当にシニア世代の方は新たなペットをお迎えすることを諦めるしかないのでしょうか?

シニアforシニアという概念の広まり
anifareは「少しでも多くの動物が人と共生し、尊重し合いながら幸せになる未来を作りたい」という理念のもと、シニアforシニアを推奨しています。
経験豊かなシニア世代だからこそできることがあると考え、シニアforシニアのアイデアにも賛同しています。
里親募集の動物たちの中には、ブリーダーを引退した犬猫も含まれますので、特定品種にこだわってパートナーを探している方にとっては最適な選択肢ともいえます。
譲渡は、サポート動物病院の獣医師立ち合いのもと行われますので、その後もかかりつけ獣医師として継続的なアドバイスを求めやすい仕組みになっています。
また、付帯のペット保険に加入することで、シニア期に負担となりがちな医療費に対する不安も解消できます。



お迎え前に知っておいて欲しいこと、考えておいて欲しいこと

自身の健康リスクに関する不安解消
どの世代の方でも、突然の事故や病気によってペットの飼育が困難になるリスクはあります。ご自身になにかあった時、ペットの一時預かりに協力してもらえるか、家族や友人などと話し合いを持っておくと良いでしょう。お世話代行サービスやペットホテルについても事前に調べたり、実際に利用しておくと、急な場合にも慌てずに手配ができます。
また、万が一ご自身が亡くなった場合、残されたペットが孤立してしまわないように、飼育を引き継いでくれる方の確保や、老犬・老猫ホームの利用を検討しておくことも大切です。ペットのための遺言作成や信託保険の加入といった備えが、問題の早期解決に役立ちます。

シニア動物をお迎えする際に気をつけるべきことは?
人と同様、ペットも年齢を重ねるにつれて身体が弱り、病気にかかりやすくなるため、適度な運動とライフステージに合わせた食事管理を行うことが大切です。
また、犬猫は人と比べて4倍以上のスピードで老化が進むので、最低でも年1〜2回、理想的には年4回、定期的な健康診断を行うことが病気の早期発見につながります。
日頃のささいな行動の変化を見過ごさないことも重要です。
寝てばかりいる、トイレの粗相が多くなったなどの変化も、単なる老化現象ではなく、関節炎や認知機能の低下などが隠れている可能性もあります。シニア期になったら半年に1度くらいの頻度で、以下の表にあげたような行動の変化がないかチェックしてみることをおすすめします。当てはまる変化がひとつでもみつかったら、かかりつけの獣医さんに相談してみてください。

シニア期に気をつけたい行動の変化

  • 気難しくなったり、短気になったり攻撃的になったりすることはありますか?
  • 道に迷ったり方向を間違えたり、どこにいるかわからなくなったり、何をしているかわからなくなったりすることはありますか?
  • フレンドリーではなくなったり、友達や家族に興味を示さなくなることはありますか?
  • 以前よりも内向的で呼んでも気が付かなかったり一人でいることが多くなったりすることがありますか?
  • ほかのペットや動物に会っても興味を示さなくなることがありますか?
  • うろうろ歩いて落ち着かない事がありますか?
  • 意味がないのに吠えたり鳴いたりすることがありますか?
  • トイレのしつけはよくできているのに、室内のいつもと違うところで排泄することがありますか?
  • 自分たちの名前を知っていたり、呼びかけを理解しているのにいつもと違う反応をすることがありますか?
  • 外に出る事にあまり興味を示さなかったり歩くのを嫌がったりすることがありますか?
  • 昼間に寝る時間が長引き、夜にあまり寝ないことがありますか?
  • 以前に比べて遊びたがらなくなることがありますか?


さらにペットが歳をとってくると、やがて寝たきりや認知症で介護が必要になってくることも想定されます。人間と同様、介護は1人で抱え込まず、家族や行政、医療機関などを巻き込み、無理のないように続けることが大切です。日頃からご家族やかかりつけ動物病院とコミュニケーションをとり、いざという時でも気軽になんでも相談できる関係性を構築しておくと、より安心してペットとの生活を楽しむことができるのではないでしょうか。
日本ではまだ発展途上段階ではあるものの、シニアの方がもう一度ペットを飼いたいという想いをかなえる仕組みが整いつつあります。
年齢に関係なく、適切な知識と選択肢を持って、ペットとの幸せな生活を送る人が増えることを、心より願っています。


参考文献
1) Mwenya Mubanga, et al, Sci Rep. 2017; 7: 15821. Published online 2017 Nov 17. doi: 10.1038/s41598-017-16118-6

2) Yu Taniguchi, et al, PLoS One. 2018; 13(11): e0206399. Published online 2018 Nov 14. doi: 10.1371/journal.pone.0206399
3) 日本ペットフード協会: 平成30年全国犬猫飼育実態調査
4)濱野佐代子ら: ペット飼育放棄要因の抽出と終生飼養サポートの検討-動物愛護団体における調査から-

イメージ

獣医師 天野 直美

株式会社ワールドエクイップス
http://www.world-equip.com/

2000年に北里大学獣医畜産学部獣医科を卒業後、動物用医薬品メーカーでの学術担当職、東京農工大学付属動物医療センター 臨床腫瘍科でのⅠ種研修医など幅広い職種を経験。
現在はヒトと動物に優しい医療の実現を目指し、世界各国から高品質な商品を輸入販売する株式会社ワールドエクイップスに勤務。セールスマネージャーとテクニカルアドバイザーを兼務する。趣味は猫とお酒と美味しいものの食べ歩き。