アメリカの保護団体、ベストフレンドアニマルソサイエティは1984年に設立され、全米で殺処分ゼロを目指す活動を行っています。この団体は、動物たちが新しい家庭を見つけるための譲渡ポリシーを刷新し、多くの動物を救うために努力しています。
特に、譲渡プロセスの簡素化やオープンアダプションの導入により、これまでの厳しい条件を緩和することで、より多くの素晴らしい家庭に動物たちを迎え入れてもらうことが可能になりました。前回の記事でこの団体の取り組みについて紹介した際、anifareの考えに似ている部分もあり、その柔軟なアプローチに感銘を受けました。今回は、その譲渡条件がどのように実際の譲渡に影響を与えているのか、具体的な事例と共にクローズアップしていきます。
ニューヨークの街中でみつけた落書き。
Adopt!! Never Shop
の絵。
出典:Best friend society
従来の譲渡プロセスは見直されつつありますが、多くの日本の保護団体に対して「譲渡条件が厳しい」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。実際に、年齢制限や収入の確認、家族構成、一人暮らしの方への制限、多頭飼いの方への制限など、さまざまな条件が設けられている団体も存在します。
これらの厳しい条件が、一体どのような問題点を引き起こすのでしょうか。ベストフレンドアニマルソサイエティはさまざまな記事で伝えてくれています。
愛情深い家庭の排除
条件が厳しすぎるために、実際には動物を大切にできる人々が譲渡を受けられない場合があります。
譲渡プロセスの煩雑さ
複雑な手続きにより、潜在的な里親候補者が手間を感じ、譲渡を諦めてしまうことが多いです。
命を救う機会の損失
条件が多すぎることで、新しい家族を出会う機会が減ってしまい、保護施設に留まる時間が長くなります。
地域社会への悪影響
条件が厳しいことで、ペットショップから購入を選ぶ人が増え、結果として多くの命が救われない可能性があります。
近年アメリカでは、そんな動物譲渡プロセスが見直され、会話ベースのアプローチ、オープンアダプションを採用している保護団体が増えてきていると、ベストフレンドアニマルソサイエティは伝えています。この方法は単に申請書を通じて情報を集めるのではなく、譲渡希望者との対話を通じて、最適なペットとのマッチングを目指します。anifareでも取り入れている方法です。
ある譲渡イベントで、犬のブレッディと一人の男性が出会いました。
彼らは一瞬で強い絆で結ばれたことは、スタッフも会話の中で感じました。しかし男性はライセンス料を支払う余裕がありませんでした。
そこでイベントのスタッフは特別に、彼の親戚が仕事を終え、お金を持ってくるのを待つことにしました。その結果、男性はブレッディを家族に迎えることができました。最終的に、彼はイベントの参加者の中で81匹目の犬を迎え入れ、ふたりともとても幸せそうでした。
この経験は、譲渡プロセスにおける柔軟さと理解の重要性を示しており、会話ベースのアプローチが動物たちの命を救う鍵となることを証明しています。
出典:Best friend society
It Takes a Village Animal Rescue and Resources(ITAV)というアメリカの保護団体は、 Best Friend Animal Societyのアドバイスを受けて、従来の厳しい譲渡基準を見直し里親と保護動物のマッチングを重視する、オープンアダプションに切り替えました。
この事例は、譲渡プロセスの見直しが
いかに重要が示しています。
オープンアダプションの効果をお伝えできたでしょうか。
日本の保護団体には依然として厳しい譲渡条件を設けているところが多くあります。そうした基準が悪いわけではありませんが、完璧な里親様を求めることで生じる問題があることを知っていただきたいと思います。
anifareは、保護犬たちの新しい家族を見つけるために、より良いマッチングを追求し、彼らの幸せな未来を確保することを目指していきます。これからも、保護犬たちが幸せになる機会を得られるよう、努めてまいります。